スパイと言えば、すごく近代的なイメージを持つ人も多いと思うが、実は、スパイの歴史=人間の歴史と言っても過言ではない。

なんと、古代バビロニアのハンムラビ法典や旧約聖書にも、敵より優位に立つための手段としてスパイが行われていたという記述があるくらいだ。

しかし、なんといってもスパイ行為が過熱しはじめたのは米ソの冷戦時代といって間違いはないだろう。

そんな、近代国家の台頭によって、スパイツール全盛時代が到来する。

一昔前のスパイ映画に見られるようなキラーアンブレラ、インスタント指紋、ピッキング携帯電話といった型破りな機器は、
飛躍的な科学技術の進歩によって、現代では、とてもオソマツな物としてしか目に映らないだろう。

冷戦時代から開発が続けられているスパイ技術は、当然の事ながら極秘機密事項なのだが、一風変わった技術のいくつかはリークされていたりする。

そんな実際にある、にわかには信じ難いスパイ技術を6ツ程紹介しよう。

1.キラーアンブレラ、口紅型銃

冷戦時代は、映画「007」で描かれるようなスパイツールが実際に作られ、使われていた「スパイガジェット黄金期」であるといっても過言ではない。

そんな中でも代表的なのは「キラーアンブレラ」や「口紅型銃」だろう。

「キラーアンブレラ」とは、リシン毒を仕込んだ弾丸を放つ傘で、実際にブルガリアの暗殺者によってソ連の亡命者を殺すためロンドンで使用された。

また、「口紅型銃」は至近距離から発砲可能な文字通り口紅の大きさ、形をした銃で、ソ連が開発したもので、別名“死の接吻”として知られている。

 

2. ハイテク盗聴猫からマインドコントロール研究まで

冷戦時代の盗聴器は性能が悪く、背景雑音を除去する機能が劣っていることにアメリカのCIAは頭を悩ませていた。

そんな時、動物の耳の蝸牛(内耳にあり聴覚を司る感覚器官・蝸牛管が納まっている側頭骨の空洞)を利用すれば、
それらの難関が突破できるのではないかと大マジメに考え、1950年代~60年代にかけて「猫」を対象にスパイガジェット開発に乗り出した。

猫の耳の外耳道にマイク、頭蓋のそばに無線送信機、腹にバッテリーを埋め込み、尻尾をアンテナ代わりに改造を行い、
障害物をよけてソ連のターゲットに近づく訓練を行った。

しかし、やはりというか、当然の事と言うべきか、猫はエサを求めて自由気ままに行動し、人間の望み通りには動いてくれなかった。

そんな欠点を克服すべく、研究チームは猫が空腹を感じないように改良を施したのである。

かなりの研究開発費を注ぎ込んで、ついにハイテク盗聴猫の完成!

…と言いたかったのだが、道路を渡ろうとした際、車に轢かれてぺしゃんこという、あっけない最後を迎えたそうだ。

CIAはその他にも、霊能者を使ってソ連の機密をあばこうとした「スターゲート作戦」を何十年もの間展開していたが、
クリントン政権時代にこの作戦チームは解散した。

その後、LSDのような幻覚ドラッグを使ってマインドコントロールする「MKウルトラ計画」を展開するのだが様々な諸事情で頓挫した。

今考えると非常に自分勝手で相手の事を考えない非常識で悪名高き研究だが、当時は大マジメに取り組み資金をつぎ込んでいたのである。


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3. 視覚マイク

スパイツール開発は、各国政府の専売特許ではない。

会話が交わされているシーンを撮影するだけで会話の内容を再現するという技術をテキサス大学の研究者たちが開発し、
2014年のデジタル国際会議SIGGRAPHで発表したのである。

この盗聴システムは、肉眼ではわからないが、カメラではとらえることのできる微細な振動を発する音波の性質を利用し、
その振動を分析して元の音を再現するというものだ。

即ち、会話が行われた部屋の写真やビデオを撮れば、誰でもその部屋で交わされた会話が再現可能という訳で、
理論上、盗聴器を仕掛けたり、ドアに耳に押し当てる必要はなくなるのだ。

 

4. 医療器具ハッキング

インスリンポンプや埋め込み式除細動器、ペースメーカーといったワイヤレスで電池式の医療機器は、
外部からのハッキングが可能である。

実際に、2011年にラスベガスで開催された安全保障会議の場において、ハッカーのジェローム・ラドクリフが、
自身のインスリンポンプにハッキングしてみせたのは有名な話だ。

また、別の話になるが、数年前にペースメーカーにハッキングしたハッカーもいたらしい。

現在までにおいて、人体に埋め込まれた医療機器が悪意をもって改ざんされたケースは公表されていないが、
事実、ハッキング可能だという事は公表されているため、危機管理意識から、アメリカ政府系監視機関である政府説明責任局が、
食品医薬品局から各医療会社に医療機器のこうした脆弱性を排除するよう要請しているという。


5. 顧客認識マネキン

スパイは敵を監視することばかりが任務ではない。

なんと、企業に対する各顧客にマッチングしたマーケッティング戦略や監視を密かに目論んでいるという。

具体例を挙げるならば、イタリアのアルマックスという会社がバイオミックマネキン「アイシー」を開発し、服飾店に配備して行っているスパイ活動だ。

このマネキンの目には顔認識ソフトのついたカメラが内臓されており、来店客の年齢・人種・性別等を特定し、彼らが購入した商品等から、
どんな客がどんな商品を買うのかを推測可能となり、傾向と対策がスムーズに展開できるという。

 

6. 量子暗号化技術

世界中のスパイ組織は、完璧に安全な伝達方法を構築することを究極目的としていると言っても過言ではないだろう。

即ち、素粒子物理学の原理を利用し、特定の受け手だけがメッセージを読むことができる絶対解読されない暗号を作りだす事だ。

そんな事は夢物語みたいな話だが、量子暗号化技術を活用することによって実現するかもしれない。

現時点では「絶対解読されない」完璧な暗号化は不可能だが、量子暗号化によって国家安全保障局でも解読困難な最強の暗号化が作可能らしい。

しかし、量子暗号化は、まだ概念実証の段階なのだが、ほぼ実用レベルにまでなってきており、
各国政府も目の色を変えて、この技術の完成を観察しているらしい。

「絶対解読されない暗号化」技術を入手できれば、他国よりかなり先んじることができ、情報戦争では一人勝ちできるからである。

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