再生医療の研究は、日夜続けられている。

そんななかでもキメラ研究というのがある。

キメラというのは、生物学の定義だと、生物個体を一個作るときに用いる細胞に、
遺伝情報が違っている細胞を、複数使うこととされている。

 

よくある例としては、接ぎ木された植物である。
この場合も、生物学上の定義で、キメラとなるのである。

接ぎ木など、昔からある手法は、とくにめずらしいものではないが、
現代の科学で問題視されることもあるのが、胚段階から作られるキメラである。

 

胚は、生物が発生する初めの段階の状態である。

キメラ胚と呼ばれている。

一つの胚に、人間のものと、
人間以外の動物のものとがある状態の生物を作るというのである。

 

キメラ胚を、iPS細胞での
臓器再生に利用するという研究が進んでいる。

臓器のような複雑な組織を、試験管などで作ることはできない。

そこで、ブタの体内に、
人間の臓器を作り出すという手法が研究されているのだ。

 

たとえば、
ヒトの脾臓をブタの体内に作り出すには、どうすればいいのか。

まずはブタの遺伝子を作り変え、ブタの脾臓が作り出されないようにする。

そこにヒトのiPs細胞をブタの胚に移植して、
ヒトの遺伝子情報とブタの遺伝子情報を持つ、キメラ胚を作り出すのである。

 

こうして作成されたキメラ胚を、子宮に移植する。
すると、生まれたブタの体内には、ヒトの脾臓が作られているのである。

そして、ブタが成長していき、ヒトの脾臓のサイズも大きくなり、
臓器移植にも使えるようになるというわけである。

病に苦しむ人々にとっては、希望の持てる話かもしれない。

しかし、このキメラ胚は、様々な問題が指摘されている。


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動物の体内にヒトの臓器があることによって、
動物に、どのような影響があるのか、よくわかっていません。

ヒトの臓器を動物の体内で作ることができるなら、
動物がヒトの脳を持つことが、可能になるかもしれません。

 

そうなれば、人間並みの知能を持つ動物が、誕生してしまうかも。
そんな人間並みの知能を持つ、動物の数が増加してしまったら。

こんな事態になれば、私たちの生活に与える影響が、
どんなものになるのか、想像ができません。


キメラ胚の研究は、こうした危険性が考えられるとして、
2015年、アメリカ国立衛生研究所は、
キメラ胚の研究への支援を、取りやめることが決定されました。

このことから、
アメリカは、キメラ胚の研究は、進めないほうがよいと、
考えているのかもしれないことが、想像される。

 

しかし、アメリカの公的機関が、
研究支援を中断したとしても、
他の団体が、支援を続けることはできるのだ。

なぜなら、それだけキメラ胚で移植用の臓器を作る
ということを実現したい人々が、いるからだ。

 

どうやらヒトとブタ、ヒトとヒツジの、キメラ胚は、20体は作られているらしい。
倫理的な問題に構わずに、研究は、どんどんと進んでいる。

政府の対応が追いついていない状態だ。

ヒトと動物とのキメラは、もう誕生している可能性はあるだろう。


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