19世紀の歯学の専門誌に、ある驚くべきことが掲載されていた。

なんと、虫歯が爆発したというのだ。

 

歯が爆発する症例

虫歯が爆発した症例には、共通点があった。

長い間、歯の痛みがあった。痛みを感じていたのは、
どの症例も、犬歯か臼歯であった。

ある患者は、激痛に耐えられずに、
冷水に頭ごと突っ込んだり、壁や床に、頭を押し付けたりしていたという。

 

そしてある日、虫歯が爆発し、
歯が割れるか、木っ端みじんに、砕け散ったそうだ。

そのときに、射撃したときのような音が、したという。

記録が残っている患者全員に、共通する出来事であった。

 

虫歯が破裂したり割れたりした後は、
激痛はなくなり、患者たちは、平穏を取り戻した。

このような歯が爆発するといった症例は、貴重なものといえるだろう。

歴史上、ほんのちょっとしか、
こういう事例はないのかというと、そうではないという。

 

まだ、いくつかの例はあるそうだ。

そうした歯が爆発した症例を、
集めてみると、さらに、共通することが浮かび上がってきた。

 

1871年のことである。

臼歯が虫歯になっていた女性は、
ある日、歯が、突然、大爆発を起こしたらしい。

拳銃を発砲したような音どころではなく、
体が吹き飛ばされるほどの威力のある爆発であったというのだ。

 

その強烈な爆発音のせいで、
女性は、しばらくの期間、音が聞こえなくなっていたという。

1920年を過ぎてからも、歯が粉々になったり、
割れるなどといった症例は、報告されていたのだが、
それらの症例の中には、爆発音がしたといった事例は、なかった。

 

歯に関する不思議な話として、1960年代の南極探検隊の例がある。

南極を探検していた隊員たちの歯が、なぜか、次々と粉々になったというのだ。

南極の強い冷気が歯に影響を与えて、
結果、粉々になったのではと思われていた。

 

しかし、どうやら、原因は、
南極探検隊たちの食事にあったのかもしれない。

糖分過多であったため、虫歯になってしまったのではないかという説がある。


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合金の詰め物のせい?

歯ば爆発するという現象は、理論的にあり得るのだろうか。

仮説の一つには、歯が腐っていくときに出る
ガスが充填されたようになり、それが爆発するというものがある。

 

しかし、この仮説には、否定的な意見がある。

口の中で、爆発が起きるほどの、
ガスが存在できるとは思えないという反論である。

 

歯の爆発が起こった症例が報告された
18世紀や19世紀には、まだ虫歯の原因が、はっきりと分かっていなかった。

今では、虫歯の原因になるのは、食べかすが残っていたり、
バクテリアが歯に付着することだと分かっている。

 

歯が爆発するのは、どうやら、
当時の詰め物の材料に原因があると、見られている。

1830年ごろは、詰め物に合金が使用されていたのだ。

 

鉛やスズ、銀などである。

 

こういった合金が詰め物に使われていると、
低電圧の電気化学電池となってしまう可能性があるというのである。

こういったことが原因となり、口の中で電気分解が起こり、
水素ができて、それが歯の中に、溜まっていった場合、
症例にあるような強烈な爆発が起こることが考えられる。

 

詰め物の鉄と鉄が擦れ合って火花がでたり、
喫煙していたりすると、火が発生する可能性はある。

諸説あるのだが、いまだに、歯の爆発の原因は、分かっていない。

 

18世紀の資料の中に、歯の詰め物に、
どういうものを使っていたかは、記載がないのだ。

他にも、なにか歯の爆発につながるような、
そういう要因があったのかもしれない。

 

歯が爆発した人は、歯の痛みが、その後、
すっかりなくなったそうだから、それはそれでよかったのかも。

だが、やはり、虫歯にならないための予防をするほうが大事だろう。


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